2025/01/20 00:12

意外と知らない「まぐろのブツ」について解説記事を作成しました。より好きになってくれると幸いです。



まぐろのブツとは?


「ブツ」とは、主に ぶつ切り にカットされたまぐろのことを指します。

居酒屋さんなどのメニューでよく見かける「まぐろブツ」や「まぐろのやまかけ」などが馴染み深いと思います。


「ブツ」という言葉の由来は「ぶつ切り」からきています。

料理用語として「ぶつ切り」とは、食材を形や大きさに厳密にこだわらず、適当な大きさにゴロッと切ることを指します。

マグロのブツの場合は1〜3cmの立方体にカットしたものを指します。



実はあまり変わらない??

よく見かけるサクの切り身は部位の見栄えを重視し、筋や骨などを取り除いて均等な厚みに切り出されます。

一方でブツは「形が整っていない」「見栄えが良くない」といった理由で市場にはあまり流通しません。


なぜかというと一尾のまぐろから赤身やトロなどの部位を冊(サク:刺身用の長方形の塊)を切り出した際に、

形が不揃いだったり、重さもバラバラな不定貫の部分が出てしまいます。
これが「ぶつ」の正体です。

基本的には冊(さく)に切り出したものと同じ味や品質ですが形やサイズが定まらず、一部スジが強めに入る箇所もありますので当店では訳あり価格としてお求めやすい価格にてご提供しております。


※重量毎や人気商品とセットのものなどバリエーションをご用意しております!


実はブツは…

• 切り出し箇所によってはトロが混ざる場合もある


という魅力もあります。
数はとても少ないのですがごくたまに大当たりの部位を含むパックが見つかることもあるかも!



「トロぶつ」とは?


ここまでの記事をお読みになった勘の良い方は「とろぶつ」のワードを目にしただけで察しがつくかと思いますが、

脂の乗った大トロや中トロ部分であっても、サクにカットすると不定貫が必ず出てきます。


こうした大トロ・中トロをカットして出てきた不定貫の部位を「トロぶつ」と呼びます。

脂がたっぷり乗っている一方、薄皮や骨が残りやすい部位でもあるので、

食べる際は除去して頂くなど一手間が必要です。


脂乗りはサクの大トロ・中トロと同じ

骨が多い部位でもあるため、切り分ける前に骨や薄皮を取っておく必要がある


トロぶつはまぐろ問屋や専門店ならではのお買い得な商品です。


っが!

こんなにハッピーな品なら沢山「買いたい!」というお客様がいらっしゃるのですが、

「とろブツ」は実はとてもごく少量しか出てきません。



実は超々希少?!


当店がECで取り扱うメインの魚種は「メバチマグロ」です。

メバチはあまり大きくならない魚種なので100kgを超えるような見事なのは豊洲市場でも頻繁にお目に掛かれません。


大体は60~80kgで市場に入ってくるのですが、

頭をカットして、骨を取って、皮を取って…etc

などしていると良くて大トロは元の重さの8%前後しか取れません。


さらにそれを冊にカットしている時に出てくる不定貫ともなると良くて1~2%程度。

中トロは比較的を多く採れる部位でもありますがそれでも不定貫で出せる量は少ないのです。


当店がECを始めたころは生産が追いつかなくなり品切れが頻発していたのですが、

現在は皆様のおかげで生産数も徐々に増やしており、

よほどでなければ品切れにならない程度に安定供給できるようになりました。



※こちらも重さごとにバリエーションをご用意してます。


高価な部位の大トロや中トロがメイン!!
時たま中トロと赤身の間(はざま)の身がたまに入ることもありますが、
お腹いっぱいに楽しんで頂けるよう仰天価格でご用意しております!

是非、至福のトロ体験をお楽しみくださいませ!
(1kgもあれば自宅でインバウン丼が何杯食べられるんでしょうか…)


美味しく食べるポイント3選!


これまでにご案内してきた「ブツ(切り落とし用 赤身)」は不定貫の為、
まぐろの様々な部位がごっちゃに混ざっているので切り方や食べ方も一工夫して頂くとよりおいしく召し上がれます。
ワンポイントアドバイスの形でレクチャーいたします。

①冊取りしたように筋と筋の間隔も広く、形も比較的整っている部位
こちらはお刺身や平造りなどにして頂いてもおいしく召し上がれます。

②筋と筋の間がやや詰まり気味だったり、お刺身として切りにくい形の部位
こちらはブツがおすすめです。
この時、2cm前後のサイズで正方形にカットして頂くとスジも気になりにくいと思います。
筋は面積が広いほどいつまでもガムのように口に残り続けますので、
「スジが強めに入ってるかな?」と感じたら面積が狭くなるように筋を断つと良いと思います。

③スジがかなりきつ目に入ってる、太く入っている部位
こういった部位は切り方だけでなんとかなるものではありませんので加熱して召し上がっていただくと、
すじが熱で溶けて歯当たりもよく、海洋性コラーゲンとして丸ごとおいしく召し上がれます。
自家製のツナやスパゲティ、ホイル焼きや塩焼き、まぐろカツなどバリエーションも楽しめます!


プロの技(テクニック)とは?


スーパーなどで購入した切り身などでも「染み(シミ)」や「血線(ケッセン)」と呼ばれる箇所が多く含まれていたら、
見栄えを損なうので倦厭(けんえん)されがちですが、
実はひと手間加えるだけで普通のお刺身と遜色(そんしょく)ないレベルまで見栄えが良くなります。

居酒屋さんやお寿司屋さんなどでよく使われるテクニックです。
それではお聞きください。


【キッチンペーパーでサンドする】


「へっ?!これだけ??」って思われるかもしれませんが、
たったこれだけなんです。


解凍してから時間が経つほど、やっても効果が薄いので解凍直後がベストですが、
やり方は以下の通り。

1,解凍して真水で洗った身を水気を軽くとってから、キッチンペーパーでサンドしてラップをかける(もしくは包む)
2,冷蔵庫で6~8時間寝かせる。目立つ血が薄まったり無くなればそのまま召し上がってください。
3,もう少し血が抜けそうならキッチンペーパーを変えて1と2を繰り返す。(紙を変えるのは1回まで寝かすのは最長24時間までにしてください)

この方法なら寝かせることで熟成もできますし、
シミや血線などの血抜きができて一石二鳥です。


困ったさんに思えて実は…!!


この「シミ」や「血線」。
見た目が悪いですが単刀直入に言うと「内出血」に相当するモノです。

「えっ?!そんな箇所を食べていいの??」って思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
船に上がった時にビッタンビッタン跳ね回って出来たものなので、
元気が有り余って活きが良すぎる個体の証でもあります。

逆に色味がきれいな身は観念して「スンッ」と大人しく冷凍された個体でもあったりします。

極たまにSNSなど眺めていると「これは生臭い証拠だ(ドヤッ)」「こんなもん出してくる店は~云云(うんぬん)」っというような、
自称グルメな方々がいますが別にドヤるほどの事ではありません。f(^ ^:)

確かにお代を頂戴するお店さんであれば一手間かけて処理して欲しいところではありますし、
シミや血線があろうがなかろうが処理がうまくなかったり、適切な処理をせず時間が経ったものは仰る通りクセぇです。


皆さんが想像しているまぐろの味というのは身が半分、血が半分と言われてたりします。
(もしかしたら当店の界隈だけかもしれませんが)
確かに血が滴る状態だとまぐろ臭さが勝ってしまいますが、
程よくシミがあるほうがまぐろの味がしてうまいという方もいらっしゃいます。
ですが適度に血が抜けている(もしくは抜いている)味が皆様になじみのあるマグロの味です。

シミ、血線は嫌わず、むしろ「キミは元気が有り余っていたんだね」と思いを馳(は)せながら、
適切に処理しておいしく召し上がって頂ければまぐろ屋も嬉しいです!


まぐろの種類と栄養素


「まぐろ」と一口に言っても、主に以下の種類があります。

▲ • クロマグロ(本マグロ)

高 • ミナミマグロ(インドマグロ)

  • メバチマグロ

安 • キハダマグロ

▼   •    ビンナガマグロ


~・~ 番外(まぐろの代替魚) ~・~


 • カジキマグロ(まぐろと付いてますがイメージをよくするために流通させたものでマグロではなくカジキです)

  • マンダイ(まぐろではなくアカマンボウ科の赤身の魚です。)

  • まぐろゼリー(まぐろエキスで着色して固めたもの)


なかでもクロマグロ(ホンマグロ)は最も巨大に成長する魚種で世界記録ではなんと680kg!!
豊洲市場の初競りで2019年に278kgのクロマグロが3億3360万の値を付け最も高級とされており、

赤身でも脂身でも評価が高い傾向にあります。


また、栄養面ではDHAやEPAが豊富です。

特にトロの部分は脂質が多く脂肪になりにくい短鎖脂肪酸(オメガ3脂肪酸)が豊富。

また青魚の代表格であるアジよりもさらに記憶力の向上にも効果があるとされるDHAの含有量が高いといわれています。

赤身も高たんぱく・低脂質で、健康志向の方には魅力的な食材です。



▼クロマグロ(脂身・生)100gあたりの主な栄養成分の例

• エネルギー:約344kcal

• たんぱく質:約20.1g

• 脂質:約27.5g

• DHA:約3200mg

• EPA:約1400mg


青魚のアジ(生)のDHAが100gあたり約570mgというデータもあるため、マグロのトロ部分のDHA量はかなり豊富といえます。



まとめ


刺身や漬け、煮付けなどさまざまな料理に使える「まぐろのブツ」は、上手に活用すれば食卓の主役にもなる万能な存在です。
お店で手に取ったときは、部位の見分けや筋・骨の有無をチェックしながら、自分好みのまぐろライフを楽しんでみてください。

これで「まぐろのブツ」にまつわるあれこれが少しでもイメージしやすくなれば幸いです。